「書きたい。何か書いて、世の中に発信したい」と切実に思った。
孤独やさみしさにはある程度慣れているつもりだったが、今回は勝手が違うようだ。
人は猛烈にさみしくなると、【会話】を求める。
我が家には犬しかいないが、それでもありがたい。せっせと話しかけて迷惑がられている。
2024年3月、わたしはひっそりと地元群馬を脱し、栃木県宇都宮市に転居した。
宇都宮生活は今日で3日目である。
部屋は築3年の綺麗めな1LDK(+3畳のサンルーム付き)を選んだが、運び入れた荷物が散乱して何がどこにあるかまるでわからない。
必要なものに限って出てこない。
ちゃんと段ボールに中身を書いていたにもかかわらず、だ。
たとえばハブラシとか鍋とか箸やちょっとした皿、マグカップなど、新居ですぐに使いたいものは前の住まいでもギリギリまで使っていて、出発直前になって慌てて空いている段ボールや紙袋に詰めてしまった。
毎回同じことをやって懲りるのだが、引越し9回目(くらい)となった今も上手く改善できていない。
栃木の惣菜が口に合わない・・・??
引越し初日からスーパーの弁当&マクドナルド生活が続いている。
フライパンや鍋、調味料類が、荷物の地層のかなり奥へ行ってしまったようだ。
初日は「ヨークベニマル」さん、2日目は「たいらや」さんにお邪魔。
何がいいって新たな住まいは、スーパーやドラッグストア、コンビニといった生活必需の店にサッと行ける点だ。面倒がっているヒマもない。
駅が近いのも嬉しい。群馬にいた頃から車メインの生活だったので、あまり利用することはないかもしれないが。。。
両店とも初訪問。初お手合わせ。
群馬で親しんでいた「ベルク」や「ヤオコー」、「フレッセイ」はどこにも見当たらない(確かヤオコーは宇都宮にもあるはずだが)。
写真を撮らなかったけれど、初日はやっぱり、大好物の唐揚げ。それから豆腐ハンバーグを中心とした弁当。豚汁。
ワクワクしながら電子レンジで温め、唐揚げをほおばる。
「えっ・・・」
イマイチだ(爆)。
ショウガの風味が効いていてイイ感じかと思いきや、なんか、好みの味と違った。ちょっと甘めだからだろうか。。
鶏の味があまり感じられず。
続いて豚汁。
滅茶苦茶な味(爆爆爆)。
これ、出汁は何だろう??イリコみたいな魚介系で、そこにゴマ油が主張していて、よく分からない。
味噌の風味があまり感じられず、さらに甘い。
具が多めなのはうれしいけれど、汁は飲み切らなかった。
翌日食べた「たいらや」さんの豚と卵の甘辛炒め弁当も、ブラックペッパーがめちゃくちゃ前面に出ていて、よく分からない味だった。
上手く表現できないけれど、いろいろ散らかった味というか。。
「うましお味」とか「コンソメ」とか「しょうゆベースの甘辛」とか、わかりやすい味が好きなわたしにとって、何だかとてつもなく脳が混乱する味なのだ。
こんなことを書いていると、地元の人から「自分の地元の味をけなされて傷つきました」「悲しいです」とかって怒られるんですけどね。
面倒なのでコメント閉じてます。そういうコメントが面倒というより、他人のブログにわざわざコメントを書いて「悲しい」と被害者感情をぶつけ、謝罪させないと気が済まない人間が嫌いなのだ。
別にけなしているのではなく、群馬の味に馴染んでいた自分の口に合わないというだけの話で、価格は良心的だし、店内も清潔。
店員さんも感じがよかったし、ヨークさんもたいらやさんもこれからバシバシ利用させていただきますね。
今回の惣菜については、たまたま「ハズレ」を引いてしまっただけかもしれないし。
でも「出汁」については、やはりちょっと馴染みがないというか・・・「合わないかもしれない」という予感を抱いています。
群馬では出会ったことのない味だった。
農産物直売所「あぜみち」さんを訪ねる
3日目は、朝からみぞれ混じりの雨が降っていてものすごく寒かった。
自転車に乗って、近所の直売所「あぜみち」さんに行ってみようと楽しみにしていたのに。
一瞬「ツイてない」と思ったが、いや多分「ツイている」のだ。
もし引越し当日にこんな冷たい雨に見舞われていたら・・・想像するだけで気が滅入る。栃木に来て早々に「お先真っ暗」な気持ちになったことだろう。
(実際は見事な快晴だった。)
急遽車で「あぜみち」さんに向かう。雨も一時的なものだったようで、空が明るくなってきている。
群馬にいたときから写真で見ていたので、すぐにわかった! うれしくなる。
悪天候にもかかわらず駐車場は満車で、お店も活気に満ちている。
何だろうか、この幸せな感じ。
店員さんは皆「おかあさん」と呼びたくなるような明るい女性たちで、お客さんと何やら楽しそうにしゃべっているし、店内放送もうるさすぎずいい感じだ。
農産物直売所ということで、店内の半分以上をさまざまな野菜たちが占めている。トマトだけでもけっこうな種類だ。
それから地元の新鮮タマゴ、地元で人気のパン屋さんから入荷したパン、地元産の米、調味料などなど。
見ているだけで楽しい。
弁当コーナーで食べたい惣菜を見繕ってレジに並ぶ。
こちらもすっごく明るく親切。
これからの孤独な栃木生活で、きっと自分を救う存在の一つになってくれるだろうと。
店の活気や店員さんたちの様子から、そんな気がしたのである。
散歩中の異変。
「あぜみち」さんで食べた惣菜については後でしっかりまとめることにして・・・
昼食を食べ終えた頃、空が明るくなって晴れ間が広がった。
愛犬を誘い、近所を散歩してみることに。
栃木に来て初めての散歩だ。愛犬も狂喜している。
外は空気がひんやりしていて、洗われたように澄んでいる。
とてつもなく気持ちよく、ひさびさに空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
体の中にペパーミントでも入り込んできたかのような清澄な空気を、愛犬もちゃんと感じ取っている様子。
初めての土地で、初めての散歩なのに、迷うよぶりもなく、ずんずん進んでいく愛犬。
頼もしい。。
雨のあとの濡れた地面とか嫌がるのに、今日は嫌がる素振りも見せず、前へ前へ・・・。
途中、どこからともなく梅の花(たぶん)の香りが。。
しばらく歩いて行くと「なかよし通り」なる綺麗な小道が現れた。
なんてことない風景に思えるが、なぜか胸をつかまれるものがある。
不意に、別れた夫との思い出がよみがってきた。
ちょうどぴったり10年前だ。時期も同じ、3月中旬。
ふたりで新築のマンションを購入し、そこへ引っ越しをする日の朝。
今日と同じように朝から冷たい雨だった。
でも引っ越しのトラックが来て荷物を積み込み、まさに新居へ向かおうとしたとき・・・
空が一気に明るくなって晴れ渡り、ごていねいにも虹まで現れた。
そして不意にベランダの外を見ると、なんとキジがいるではないか!
いくら群馬でも、普通の民家が並ぶ住宅街にキジが来るなんてそうはないはずだ。
目の前で重なりあった奇跡。
夫が、ぼうぜんと虹を見ているわたしを振り返り、
「瑞兆だね。」
と言ったことを、今もずっと覚えている。
まるで自分たちの門出を祝福してくれているようだった。
梅の香りに涙が止まらない
どうしたことだろう、次の瞬間、発作のように猛烈な悲しみが襲ってきて、思わず「ぐほっ」と咳込んでしまった。
悲しいというより、「何をやっているんだろう」という、かつて味わったことのない、息が止まるような後悔。
大きな嗚咽が出て、次の瞬間から、もう涙を止めることができなくなった。
信じられないことに、住宅街にある「なかよし通り」とかいうところで犬を連れたわたしは、声をあげてオイオイ泣いている。
もしこの場所に夫もいたら。
新しい土地に、ふたりで引越ししていたら。
きっとネットであれこれ調べて、評判の良いお店を見つけ出してくれただろう。
片づけなどほったらかして、ふたりであちこち探検に出かけたことだろう。
帰りにケーキとか晩のおかずを買って、愛犬が待つ家に帰って。
なんでわたしは、ここでひとりで何をやってるんだろう。
夫が可愛がっていた犬を連れてきて、縁もゆかりもない知らない土地で。
家族もいない、友達もいない、本当に、わたしのそばには犬しかいない。
こんなにも孤独になってまで、何がしたかったんだと、猛烈な勢いで涙が出てくる。
これはやはり、後悔なんだろうか。
つづく。